需要シミュレーション/エネルギー需要

ここでは建物の暖房、給湯、電気供給、冷房のための年間エネルギー需要が算出され、表示されます。これには2つの算定方法があります。建物データ(形状、壁の層構造、窓のG値など)と気象データから時間別の需要をシミュレートする方法と、エネルギー需要をインポートする方法です。この方法で判定された値をさらに増減して、微調整を行うこともできます。

需要のシミュレーション  

計算を開始する前に、以下の基本的な前提条件を満たす必要があります。

  • 気象の基準となる立地が選択されていること
  • 複数の階と部屋をもつ建物であること
  • 部屋は建築部材(壁、窓など)をもち、建築部材は建築部材カタログと関連づけられた構造(層構造、窓のG値など)をもつこと
  • 必要な寸法と方位がすべて入力されていること
  • 建物にゾーンが設定されており、各部屋が相応のゾーンに割り当てられていること。ゾーンまたは使用プロファイルによっても、使用形態が異なってきます。

計算の開始時に上記の前提条件が満たされていないと判定されると、計算は実行されません。前提条件が満たされている場合は、以下の値を計算できます。
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次計算により、必要な冷暖房容量が求められます。設定した温度状態を確保するために、計算された冷暖房容量が冷暖房システムにより供給されなければなりません。冷暖房容量は、それぞれの文脈で「暖房負荷」または「冷房負荷」とも呼ばれます。
この際、計算されるのは年間容量だけです。プログラムは屋外の条件(日射量および外気温)を自動的に生成し、使用します。これらは前年の気象データから計算された平均値です。気象データの情報源は、「気象データ」ビューで選択できます。つまり、「異常気象」と言われる年(特に暑夏年や寒冬年など)でも設定の温度状態を維持することは、プログラムで保証されません。
室内の建築部材(壁、天井、床)が1つの部屋に限定される場合、隣接する部屋とは熱平衡状態になりません。そのような構造の部屋は、室内の建築部材については独立した状態にあり、そこでは外壁を介してのみ熱交換が行われます。そうした熱の動態は現実に近いものではありません。したがって、室内の建築部材ごとに、隣接する部屋を指定する必要があります。この指定は表形式で行い、建物の入力のところで「建築部材(部屋)」の「隣接部屋」列から選択します。HottCADで作成した建物の場合、この割り当ては自動的に行われます。

需要のインポート

「インポート」ボタンを使用して、エネルギー需要のデータをCSV形式またはテキスト形式でインポートできます。

データがインポートされた場合、取り込んだプロジェクトのプロファイルは考慮されません。次のダイアログボックスでファイルを選択します。「CSV形式でインポート」ウィンドウでインポートのデータ形式を指定します。

  • 見出し行の行数
  • 区切り文字
  • 小数点

表の上にある選択ボックスで、それぞれの列の内容をプロファイルに割り当てることができます。

必ずしもすべての値を設定する必要はありません。

ここでは次を選択できます。

       


ファイルがインポートされると、表の「インポート完了」列の該当する項目にチェックマークが付きます。インポートの後に、入力した建物データとプロファイルから値を計算する場合は、まず「インポート完了」列のチェックマークを外す必要があります。

シミュレートまたはインポートした需要の値を増減する

シミュレーションまたはインポートした後でも、需要を増減することができます。つまり、年間のエネルギー需要または最大負荷が入力値に対応するように年間推移を維持しながら、指定した行を調整できます。この調整を行うには、表の手動入力のボックスにチェックマークを付けます。暖房需要は異なる方法で算定します。つまり、暖房負荷、年間エネルギー需要、または推定消費量によって求めます。

結果の表示

算定された負荷は年間グラフで表示されます。つまり、負荷は年間の合計時間をプロットして図示されます。この図からは、特定の負荷が年間に何時間存在するかを読み取ることができます。以下の項目について、年間時間数を図示することができます。

       

チェックボックスのチェックを付けたり、外したりすることで、各データの線を表示または非表示にすることができます。図中でクリックすると、マウスホイールを使いグラフ表示を拡大縮小できます。

上記は年間時間数を図示したものです。この図では、7 kW以上の暖房負荷(赤線で図示)が年間500時間近く、5.3 kW7 kWの暖房負荷が同じく500時間存在することが分かります。